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好気脱窒装置の開発

(株)プレスカと東京海洋大学は、東京海洋大学が発明した好気脱窒技術の実用化を目的に開発を行ってきました。
好気脱窒は、「好気脱窒菌を保持するためのろ材」と「好気脱窒菌の栄養源となる有機物」が一体となった基質が必要になりますが、閉鎖循環養殖で使用可能な基質は市販品にはありませんでした。そこで閉鎖循環養殖に適した基質の開発に取り組み、試行錯誤を繰り返しようやく令和2年に商品化に成功しました。
新しい基質の開発により、好気脱窒装置の実用化が完成し、閉鎖循環式陸上養殖の生産コスト削減が可能になりました。

・H29.4〜R5.3:東京海洋大学と脱窒装置の実用化開発
・H31.4:東京海洋大学と独占的ライセンス契約を締結
          (特許第6480015号、水生生物飼育分野)
・R2.7:脱窒基質の開発に成功(プレスリリース)

硝酸除去の必要性

飼育水中の硝酸は、魚介類が排泄するアンモニアの生物学的硝化により蓄積していきます。 硝酸は魚に対する毒性が低いため、養殖システムに脱窒装置が組み込まれることはほとんどありませんでした。
しかし、硝酸は高濃度になると魚介類に悪影響を及ぼし、成長抑制、飼料効率の低下など、生産効率低下の原因になっています。特にアワビ等の無脊椎動物においては、低濃度の硝酸でも生育に影響を及ぼします。
閉鎖循環式養殖は生産コストが高いため、生産効率を高めることは必要不可欠になります。そのため閉鎖循環式養殖においては、至適水温での飼育による魚介類の高成長を維持するために、成長抑制の原因の一つである硝酸の除去は必要不可欠になります。  

間欠ろ過式好気脱窒とは

好気脱窒とは、嫌気脱窒菌が無酸素条件下で硝酸を除去する従来型とは異なり、好気脱窒菌の働きで水中より硝酸を除去するため、酸素リッチでも脱窒が可能な処理方式です。
また、間欠ろ過とは、基質が充填されている脱窒槽の水面を上下させ、脱窒菌が高密度に繁殖している基質が、 気体暴露(ドライ)と液体浸漬(ウエット)とを交互に繰り返す、ウエット&ドライと呼ばれる処理方式です。
間欠ろ過式好気脱窒とは、この二つの処理方式を兼ね備えた硝酸除去技術で、基質が気体暴露と液体浸漬とを繰り返しながら、基質に繁殖している好気脱窒菌の働きにより好気状態で硝酸を除去します。

脱窒基質(V-Cel)

「V-Cel」は、好気脱窒専用に開発された、セルロースを主成分とする、安全性の高い(急性経口毒性試験:LD50:2000mg/kg超)、直径約6mmの多孔性基質です。




特徴

@魚介類の成長促進

硝酸を低濃度に維持することで魚介類の成長を促進します。

A魚介類の品質向上

泡沫分離装置と併用することで、カビ臭の主成分であるジェオスミンの発生を抑制でき、魚介類の臭みが少なくなります。

B安全な処理

好気状態で脱窒反応が進行するので、硫化水素が発生しません。

C安定した水質

・硝酸濃度を低濃度に維持できます。
・従来型嫌気脱窒で起こりがちな酸化還元電位の低下がありません。
・pHの低下を抑制できます。

D制御が無く、管理が極めて容易

硫化水素発生防止のための制御が不要で、日常管理は減耗する基質の補充・交換だけです。

E装置がコンパクト

飼育水と同じ好気環境で処理が行われるので、DOをゼロにする無駄な工程と処理水の曝気が不要です。

F閉鎖循環式養殖の生産性の向上が可能

換水量の削減、魚介類の成長促進により、生産コストの削減が可能になります。