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家庭での観賞魚や水族館などの水槽の水浄化では、繊維ろ材というとマット状のものが良く知られています。

【マット状ろ材】


しかし、ここで紹介するひも状ろ材は、養殖用水を浄化するためのろ材として、まだあまり一般的な素材ではありません。 しかし、このひも状ろ材は河川や湖沼の浄化では300ヶ所以上と日本最多の実績を持ち、また、上下水道浄化施設や家庭用合併浄化槽、工場から出される排水の浄化でもよく使用されており、水質浄化の材料としては多くの実績がある素材です。

【河川・湖沼浄化】            【生活・工場排水浄化】


ここでは、弊社で開発したひも状ろ材「バイオコード」の特長を説明した後、養殖用水を浄化する使用方法について具体的な例を挙げながら紹介していきたいと思います。

【ひも状ろ材「バイオコード」】

バイオコード構造・特長

「バイオコード」の構造は、1本の芯を軸として複数の繊維をループ状にあらゆる方向に組むことにより形成されています。

【バイオコードの構造】

飼育水の浄化におけるろ材の機能には、残餌や糞のような水中に浮遊する物を捕らえるという物理的な働きと、 魚の排出した有機物やアンモニア等の水中に溶解した有害物質を微生物の働きによって分解するという2つの面があります。
「バイオコード」の機能をその両面から見ると、まず物理的な働きではループ状の繊維が浮遊物を効率よく捕らえます。 そして生物的な働きでは繊維の特性を生かした広い表面積と、螺旋構造が作り出す立体的で規則的な空間に、 浄化に携わる多くのバクテリアや原生動物等を増殖させることによって安定した生物処理を行ないます。
このうち、養魚用水の浄化では重要である生物的な働きについて詳しく見ると、比較的酸素の供給されやすい表層部には好気的な微生物(好気性菌)が、 酸素の供給されにくい中心部には嫌気的な微生物(通性嫌気性菌)の生物相が発達します。 滑らかな面で発達する生物膜では、ある程度の段階で容易に剥離してしまうのに対し、 「バイオコード」ではバランスよく発達した生物膜が長期間持続し、そのことにより安定した処理効果を長期間発揮するように考えられています。

バイオコードの種類

一般的に繊維ろ材に使われる繊維の条件とされているのは、軽く強く腐敗しないということです。 そして、この条件を満たす素材が合成繊維です。 かつては、合成繊維の中でも物理的・化学的に安定し長期の使用にも耐える等の理由からポリ塩化ビニリデンを材料としたひも状ろ材が主流でした。 しかし、現在では浄化対象とする水の状況により使用される合成繊維の種類は様々です。
弊社においても、有機物量によって異なる水の状況に対応できるよう、いくつかの繊維を使用し、数種類の「バイオコード」を開発してきました。 ここで、そのうちいくつかの種類についてご紹介したいと思います。
有機物の少ない比較的きれいな水では、水中の小さな浮遊物も引っ掛けて捕らえ易く、繊維表面の生物膜が速やかに発達するように細く縮れた繊維を採用しています。 このときの繊維には、水中で細かな繊維が広がるように比重の軽いポリプロピレン(PP)を使用しています。

【PP製バイオコード】


逆に有機物が多い水では、付着汚泥によりろ材が短期間で閉塞してしまうことを防ぐため、比較的太めの繊維を採用し空隙を多く取るようにしています。 これによりろ材の表面積は前述したポリプロピレンに比較し不足しますが、 ビニロンという給水率が高く生物膜が発達しやすい繊維を使用することによって生物的な処理能力を補っています。 このビニロンという繊維は海苔の養殖に使用される網にも使われており、生物の付着し易さについては定評があります。

【ビニロン製バイオコード】


「バイオコード」の欠点として、ろ過槽への充填のし難さという問題があります。 これは砂や砕石などの場合、そのままろ過槽内へ投入するだけでよいのに対し、「バイオコード」の場合、その構造を十分に生かすためには、 ひもの両端を固定して槽内に投入する必要があるという手間のためです。 しかし、最近では太く硬い繊維と、細く縮れた繊維を組み合わせることにより、ひもの両端を固定しなくとも、その形状を保持できる商品「バイオコードMK」も登場しています。 ここで使用されている太い繊維は、今まで使用されてきた合成繊維と異なり、異形材という断面が星型をした繊維を使用しています。

【バイオコードMK各種】           【星型断面】


これにより、太い繊維にも関わらず浮遊物を捕らえやすく生物膜が付着しやすくなるよう考えられています。


ティビーアール株式会社
環境事業部
山下 修